欧州でダム撤去数が過去最高に ― 自然本来の川の姿を取り戻す

作者: Tatyana Hurynovich

欧州でダム撤去数が過去最高に ― 自然本来の川の姿を取り戻す-1

2025年、欧州では過去最多となる河川障壁の撤去が行われ、環境団体「ダム・リムーバル・ヨーロッパ(Dam Removal Europe)」の報告書によると、前年の542か所を上回る計603か所のダムや障害物が大陸全土で取り除かれました。これは、河川の連続性と生態系機能を回復させる広範なキャンペーンの一環であり、年内には専門家の手によって約2,300マイル(約3,700km)に及ぶ水路の再生が完了しました。

国別ではスウェーデンが173か所で最多となり、フィンランド(143か所)、スペイン(109か所)がそれに続きました。また、今回初めてアイスランドと北マケドニアでも撤去が実施されたことは、老朽化した障壁の排除プログラムが地理的に拡大していることを示しています。

【重要性】ダムやその他の障壁は河川を分断し、魚類をはじめとする水生生物の自然な移動を妨げるだけでなく、水文環境を変化させ、生態系に深刻なダメージを与えます。障壁を撤去することで、河川の上流と下流のつながりが回復し、水の流れや水質が改善されるほか、回遊魚の回帰を促し、河川システム全体の回復力を高めることができます。

【現場での成果】すでに各地で生物多様性の明らかな改善が報告されています。その一例として、北ウェールズのディー川では、アービストック・ダムの撤去後、ウミヤツメの産卵床が急増したことが確認されました。プロジェクトリーダーのジョエル・リース=ジョーンズ氏は、「これらの産卵床を確認できたことは、実に感動的です。アービストック・ダムのような障壁を取り除き、生息地同士を再びつなぐことで、ウミヤツメやアトランティックサーモンのような象徴的な種に生存のチャンスを与えることができるのです」と語っています。

【規模と課題】大きな成果を上げている一方で、依然として課題は山積しており、ダム・リムーバル・ヨーロッパの推計によると、欧州の河川には今なお15万か所を超える老朽化した障壁が存在し、川を分断し続けています。川の生態系機能を完全に取り戻すには、今後、撤去のペースを大幅に加速させる必要があります。報告書は、作業のスピードは上がっているものの、行政上の手続きや技術面、資金面での障害に加え、侵食や堆積物の変化、排水管理といったリスク評価、さらには水力発電や地域社会の利害調整など、克服すべき点が多いことを強調しています。

【資金調達と参加団体】撤去プログラムの実施にあたっては、公的資金、欧州連合(EU)の助成金、自然保護基金による投資、そして非政府組織(NGO)の参画が重要な役割を果たしています。また、河川の環境復元を専門とする政府機関や民間企業が、高度な技術的知見を提供しています。

【展望】ダム撤去数と再生された水路の総延長が伸びていることは、欧州の生態系と生物多様性にとって明るい兆しです。しかし、個別のプロジェクトを体系的なプログラムへと発展させるためには、協調的な政治判断、持続可能な資金確保、および流域住民への社会的影響に対する配慮が欠かせません。アービストックの事例が示すように、科学的知見、市民の支持、そして資金が一体となれば、数年以内に目に見える形での環境的恩恵を得ることは十分に可能です。

【出典】本データは「Dam Removal Europe: DRE Progress Report 2025 (2026年5月発行)」に基づいています。

7 ビュー

ソース元

  • отчёт Dam Removal Europe: DRE Progress Report 2025 (may 2026).

エラーや不正確な情報を見つけましたか?できるだけ早くコメントを考慮します。