2025年7月16日、ニューヨークのサザビーズオークションで、史上最大の火星隕石が530万ドルで落札されました。この出来事は、単なる天文学的発見以上の意味を持ち、科学研究への影響という観点からも注目されています。
隕石は24.67キログラムの重量があり、2023年11月にニジェール、サハラ砂漠のアガデス地域で隕石コレクターによって発見されました。NWA 16788は、地球上に存在する既知の火星物質の約6.5％を占め、2番目に大きい火星隕石よりも約70％大きいです。これは、火星のマグマがゆっくりと冷却されて形成された火山岩である、オリビン-マイクロガブロイック・シェルゴッタイトです。隕石の組成には、火星への小惑星衝突によって形成されたガラスである21.2％のマスクリナイトが含まれており、火星の地質学的プロセスに関する貴重な洞察を提供します。
この隕石の落札は、科学的遺物の商業化と研究へのアクセスの影響について議論を呼びました。日本の宇宙開発研究機関であるJAXAは、火星探査ミッションを通じて、さらなる火星物質の収集を目指しており、今回の隕石の落札は、その研究活動にも影響を与える可能性があります。専門家によると、隕石の市場価値は年々上昇しており、特に希少性の高い火星隕石は、高額で取引される傾向にあります。今回の落札は、科学研究と商業的価値のバランスをどのように取るかという、新たな課題を提示しています。