PSR J1023+0038は、活動状態と非活動状態を切り替えるユニークな天体であり、遷移型ミリ秒パルサーとして知られています。最近の多波長観測により、この天体の複雑な振る舞いに関する新たな理解が得られています。
2025年2月、国際的な研究チームは、X線、紫外線、可視光、電波の同時観測を行い、X線フレアが紫外線および可視光の対応するフレアと同時に発生することを確認しました。これらのフレアは、過去10年間で最も明るい電波フレアと一致し、その継続時間は約1時間でした。さらに、光学偏光の減少が観測され、非偏光成分の存在が示唆されました。これらの結果は、パルサーがどのようにエネルギーを放出しているのかを理解する上で重要な手がかりとなります。
2025年7月には、NASAのIXPE、VLT、VLAを用いてPSR J1023+0038を観測しました。その結果、約12%という高いX線偏光と、約1%の光学偏光が検出されました。偏光角度の整合性は、パルサーの広帯域放射を駆動する共通の物理的メカニズムを示唆しています。これらの観測結果は、パルサーの磁場、降着、および高エネルギー流出の相互作用に関する理解を深める上で、重要な役割を果たしています。
PSR J1023+0038の研究は、連星系における中性子星の進化を研究するための貴重なツールとして、今後も継続されるでしょう。この天体のさらなる観測と分析を通じて、宇宙の謎に迫る新たな発見が期待されています。