地政学的緊張が和らぐと、かつて恐怖心から敬遠されていた市場へ資金が一気に流れ込みます。月曜日のビットコインは、米国とイランの合意が間近に迫っているとの報道を受け、6万6000ドルの大台を突破し、その後6万7000ドル台まで上昇しました。市場はこれをリスク後退の兆候と捉え、前日までボラティリティが高すぎると見なされていた資産に資金が向かいました。
TheStreetのデータによると、ビットコインは24時間で5%近く上昇し、イーサリアムは10%を超える急騰を見せました。その背景は仮想通貨市場特有の事情にとどまりません。米イラン合意は原油価格の下落やホルムズ海峡の再開、さらにはセンチメントの全体的な改善をもたらすと期待されています。こうした状況下で、伝統的な投資家はハイテク株からデジタル資産に至るまで、リスク資産への投資により積極的な姿勢を見せています。
しかし、今回の価格上昇の背景にあるのは地政学的な要因だけではありません。早くも水曜日には、ケビン・ウォーシュ新議長率いる米連邦準備制度理事会(FRB)が最新の予測を公表する予定です。市場では金利据え置きがほぼ確実視されていますが、将来的な利下げの示唆や、逆にタカ派的な姿勢が見られれば、ムードは一変する可能性があります。「ドットチャート」がハト派的な内容であれば現物ビットコインETFへの資金流入が加速する一方、引き締めを示唆するシグナルが出れば、再び資金流出が始まるでしょう。
機関投資家の資金動向は、すでに不安定な兆候を示しています。6月初旬には米国のETFから数日間にわたって多額の資金流出が記録された一方、6月12日には8,590万ドルの流入が見られました。こうした乱高下は、大口の投資家が好材料に飛びついて直ちに「全力買い」をするわけではないことを物語っています。彼らはマクロ経済や流動性の面から、裏付けとなる確証を待っているのです。
個人投資家にとっての現状は、ビットコインの価格がハッシュレートや保有者数だけでなく、グローバルなリスク選好度にも左右されることを改めて証明する形となっています。紛争が沈静化し、中央銀行が融和的な姿勢を保てば、デジタルゴールドは高利回り株のような動きを見せます。反対に、緊張が再燃したり小売売上高が予想を上回って好調だったりすれば、資金は速やかに安全資産へと避難してしまいます。
金曜日にはさらなる変動要因が加わります。米国が「ジューンティーンス(奴隷解放記念日)」の祝日で休場となるため、伝統的な市場の流動性は低下します。仮想通貨市場は24時間取引が続きますが、出来高が細るなかで大口注文が入れば、価格変動が激しくなる恐れがあります。こうした日には、仮想通貨がいかに伝統的な金融システムに追随する「派生的な」資産であるかが浮き彫りになります。
したがって、今回の価格上昇は単なるテクニカルな反発ではなく、地政学リスクがわずかでも改善すれば投資家の心理がいかに素早く切り替わるかを反映したものです。投資家は、現在のビットコインがナスダック指数と連動しており、マクロ経済や政治的なシグナルが変化すれば、ともに上昇し、ともに下落するという現実を念頭に置くべきでしょう。



