揚子江流域の農家が手にしているのは、三千年にわたり棚田で守り抜かれてきた一握りの黒米だ。その一粒一粒からは、雨上がりの大地の匂いとともに、数ヶ月に及ぶ自然発酵がもたらしたほのかな酸味が立ち上がる。今日、機能性飲料メーカーが追い求めているのはまさにこの香りであり、消費者に過去とのつながりを取り戻させる鍵となっている。
中国南部の気候と土壌は、高湿度と赤土によって、他の地域では再現不可能なほど米にミネラルを蓄えさせるという独自の環境を作り出している。かつてシルクロードに沿った交易路は中央アジアの発酵技術をこの地へもたらし、地元の農家はそれを日常の食生活に適応させながら守り伝えてきた。その結果、この米から作られる飲料には、現代の研究所が原料なしには到達できないほどの高濃度な乳酸とポリフェノールが含まれている。
雲南省の李(リー)家では、発酵米の製法が5世代にわたって受け継がれている。家長の李文(リー・ウェン)氏は、香りや質感で熟成具合を見極める様子を披露し、米は歯応えがかすかに残り、液はベルベットのような粘り気を帯びていなければならないと説明する。彼は、かつてこの飲み物が重労働の後の活力回復のために飲まれていたことを語り、今もそれを単なる商品ではなく家族の記憶の一部だと信じている。
現在、大手ブランドは「レトロな若返り」ラインを展開するため、こうした原材料を買い付けている。しかし、市場の圧力によってプロセスの簡略化を余儀なくされ、長期の自然発酵の代わりにスターターを投入することで、風味の変化や栄養価の低下を招いている。李文氏のような農家は、伝統を守り抜くか、輸出による経済的利益を優先するかの選択を迫られている。
本物の味を堪能するには、9月から11月にかけての米の収穫期に雲南省を訪れ、棚田近くの村々にある小さな家族経営の工房を探すのが一番だ。そこでは、米を浸水させるところから、数ヶ月間寝かせる陶器の壺に詰めるところまで、一連の工程を目の当たりにすることができる。
この米の味わいは、自らの健康を管理する感覚というものが、大地に深く根ざしたシンプルな営みを通じて取り戻されるものであること、そしてそれは本質を損なうことなくしては決して研究所で再現できるものではないということを教えてくれる。



