まるで映画を逆再生するように、量子世界の最も基本的なプロセスを巻き戻すことが可能になる――。国際的な研究チームが、まさにそれを実現し、量子もつれ操作の可逆性を実証しました。この画期的な研究成果は、2025年7月2日に*Physical Review Letters*誌に発表され、量子技術に新たな可能性を切り開くものです。
この成果を達成するために、研究チームは「もつれバッテリー」という概念を導入しました。この追加的なもつれ系が、状態変換プロセスを円滑にし、あらゆる混合状態のもつれ変換を完全に可逆的にすることに成功しました。この発見は、量子現象の理解と制御において大きな一歩であり、より効率的な量子コンピューターや通信システムの実現につながる可能性があります。
このブレークスルーは、もつれ理論にとどまらず、広範な影響をもたらすでしょう。その原理は、複雑な量子ネットワークにも適用可能であり、高性能な量子技術の開発につながる可能性があります。この研究は、2025年1月に*PRX Quantum*誌に発表された、量子領域における熱力学第二法則を確認した研究など、これまでの研究とも整合性があります。日本の研究者の方々も、この分野で世界をリードしていくことを期待しております。