カールスルーエ実験でニュートリノ質量の画期的進展
ドイツのカールスルーエトリチウムニュートリノ(KATRIN)実験は、ニュートリノ質量の質量上限を絞り込むことで、新たな世界記録を樹立しました。7か国20以上の研究機関の共同努力によって達成されたこの画期的な成果は、素粒子物理学における重要な進歩を示しています。
ニュートリノの謎を解き明かす
宇宙に遍在する捉えどころのない粒子であるニュートリノは、大規模な銀河構造の形成において重要な役割を果たしています。そのごくわずかではあるがゼロではない質量は、これまで知られていなかった物理プロセスの重要な指標となります。ニュートリノ質量を正確に測定することは、自然の基本法則を理解し、宇宙全体の質量を決定するために不可欠です。
不安定な水素同位体であるトリチウムのベータ崩壊を利用したこの実験では、分光計を使用してニュートリノ質量を測定します。新しい上限は0.45電子ボルトで、2022年の結果を0.35電子ボルト改善しました。カールスルーエ工科大学(KIT)のカスリン・ヴァレリウスは、「現在の質量上限により、KATRINは直接ニュートリノ質量測定の分野で世界ランキングのトップを維持しています」と述べています。
チェコの科学者の貢献
チェコ科学アカデミーの核物理研究所のチームは、この実験に大きく貢献しました。彼らの主な貢献は、クリプトン同位体の放射性崩壊に基づく単一エネルギー電子の気体源の開発でした。ドラホスラフ・ヴェノスによれば、このソースはエネルギー校正のゴールドスタンダードであり、ニュートリノ質量の決定において重要な補正を可能にします。
ニュートリノ質量を決定する探求は、20世紀初頭から物理学者を魅了してきました。1948年の初期の試みでは、上限が5000電子ボルトに設定されました。これは、現在の結果の11,000倍の値です。この新しい測定は、これらの基本的な粒子に対する私たちの理解における記念碑的な飛躍を表しています。