量子フラクタル「ホフスタッターの蝶」を実材料で観測

プリンストン大学の科学者チームは、量子フラクタルパターンとして知られる「ホフスタッターの蝶」を、初めて実材料で直接観測しました。炭素原子シートを積み重ねてねじり、モアレ模様を作り出すことで可能になったこの発見は、磁場下の二次元結晶における電子エネルギー準位に関する1976年の予測を裏付けるものです。「蝶」という愛称は、エネルギーと磁場に対してプロットしたときに、パターンが蝶の羽に似ていることに由来します。 アリ・ヤズダニ率いるチームは、走査型トンネル顕微鏡（STM）を使用して、モアレ結晶を画像化し、電子エネルギー準位を調べました。当初は超伝導研究中の偶然の発見でしたが、この観測は量子フラクタル内の電子相互作用に関する新たな洞察を提供します。共同筆頭著者のケビン・ナックルズ氏は、直接エネルギープローブとしてのSTMの重要な役割を指摘しました。当面の実際的な応用は明らかではありませんが、この研究は基礎物理学の理解を深め、将来の量子材料研究に影響を与える可能性があります。