麻痺患者が実験的幹細胞療法で再び立ち上がる

完全麻痺の男性が、再プログラム可能な幹細胞を用いた実験的治療により、再び立ち上がる能力を取り戻しました。この症例は、重度の脊髄損傷を治療するために人工多能性幹細胞（iPS細胞）を使用する日本の臨床試験の一部です。東京の慶應義塾大学の岡野栄之教授が主導したこの研究には、急性脊髄損傷を患う完全麻痺の男性4人が参加しました。2人に著しい改善が見られ、1人は腕と脚の動きを取り戻し、もう1人は現在自立して立ち上がることができ、歩行訓練を受けています。この治療法では、成体細胞を胚のような状態に再プログラムし、脊髄再生に不可欠な神経細胞またはグリア細胞に誘導できるiPS細胞を使用します。研究者らは、iPS細胞由来の約200万個の神経前駆細胞を各患者の損傷部位に直接注射しました。2人の患者には顕著な改善が見られませんでしたが、他の患者には神経再生の明らかな兆候が見られました。介入から1年後、重篤な副作用は観察されませんでした。研究者らは、治療の有効性を実証するために、より大規模な臨床試験で研究を拡大する予定です。世界中の他のチームが代替療法をテストしていますが、iPS細胞は個別化医療の可能性を秘めているため、有望視されています。