南極大陸から採取された氷床コアは、過去120万年にわたる地球の気候変動の記録を提供しています。これらのコアの分析は、過去の気温、温室効果ガス濃度、氷河サイクルの理解に不可欠であり、地球温暖化のメカニズム解明や将来の気候変動予測に重要な手がかりを提供します。
2025年6月24日、文部科学省で開催された第166回南極地域観測統合推進本部総会において、第67次南極地域観測の基本的な考え方と行動計画案が決定されました。これにより、南極観測船「しらせ」による本隊は、復路においてフリーマントル寄港後に再編成し、引き続き重点観測サブテーマ2によるトッテン氷河沖での集中観測のための航海を実施することが計画されています。
また、2024年9月6日には、南極地域観測第Ⅹ期6か年計画で実施する一般研究観測・萌芽研究観測の課題が採択されました。これらの研究は、南極氷床棚氷における高解像度底面融解量の推定や、凍結・乾燥の影響を受ける南極露岩湿地の生態系観測など、多岐にわたるテーマを含んでいます。
これらの取り組みを通じて、過去の気候変動パターンの詳細な把握や、将来の気候モデルの精度向上が期待されます。氷床コアの分析は、過去の異常気象イベントの理解を深め、将来の気候変動に対する適応策を策定するための基盤となります。
これらの研究は、地球の気候変動に関する理解を深め、持続可能な社会の実現に貢献することが期待されています。